更なる検証

 

クエン酸の増加はエネルギー産生を抑制してしまいますので、クエン酸を分解する仕組みもあります。それは血液をアルカリ性にするといものです。

 

また、分解せずに細胞質のクエン酸濃度を下げる経路もあります。それは細胞質で過剰となったクエン酸はミトコンドリアに入ることなく、脂肪酸の材料になると考えられている点で、身体の恒常性を保つ機構として、細胞質のクエン酸が減少すると、脂肪酸のミトコンドリアへの取込みが元に戻っていくのです。

 

こうしたバランス機能があるので、たくさん摂ったクエン酸が、直接的にミトコンドリア内のクエン酸回路を活性化するというのは、なかなか難しいことという判断ができるでしょう。

 

クエン酸が疲労物質である乳酸を消去するという点については、実験報告があります。この実験は、乳酸が血中に蓄積しやすい無酸素運動を一定の時間行った後に、「ブドウ糖だけ」と「ブドウ糖+クエン酸」を飲んだ場合に分けて血中乳酸濃度を測定したものですが、その時の乳酸の減少値に差があったというわけです。

 

このように乳酸が蓄積した状態で「クエン酸だけ」を飲んだわけではなく、ブドウ糖も同時に摂っての実験です。従って、乳酸が蓄積していない状態で、クエン酸を飲めば乳酸が除去されるという内容ではありません。

 

こうしてみると、やはり直接的にダイエットに有効かという点では疑問も生じるということになるでしょう。しかし「嘘と本当」に関しては、疲労回復に梅干などを食べて、より運動量を増やすことが出来るなら、それはいいことだと思います。